なぜ多くの企業は自動化に成功しないのか?

December 12, 2020

なぜ多くの企業は自動化に成功しないのか?

テスト テスト 近年では「ビジネスプロセスの自動化(BPA)」という言葉がバズワードになっていますが、実際の導入は想像以上に難しいものです。正しく導入すれば、成長と効率を促進できますが、うまくいかなければ、すべての努力・投資・時間が無駄になってしまいます。自動化で成功するには、ワークフロー内の冗長性を排除することを目的とした明確な目標を持つことが不可欠です。

ビジネスプロセス自動化がまずもたらす最大の利点は、業務コストの大幅な削減です。自動化により、手作業の工数を削減できるだけでなく、作業の精度も向上します。企業の競争力が増し、革新の機会も広がります。

これこそがデジタルトランスフォーメーション(DX)の本質です。結局、自動化とは、組織におけるこの大きなDXの一部にすぎません。最近の自動化トレンドは、今後数年間がハイパーオートメーション(超自動化)に支配されることを裏付けています。

特に金融業界や保険業界では、自動化が最も注目されている分野の一つです。銀行やその他の金融部門(保険など)における自動化の導入は、以下のような日常業務の自動化に大いに役立っています:

  • 複数のクライアントからの問い合わせに同時対応
  • 買掛金/売掛金の自動処理
  • 請求書処理
  • データ照合の自動化
  • 不正の検出
  • 人事・総務業務の迅速化

企業が最も採用している自動化の種類は、主に次の3つに分類されます:

  1. 固定自動化(ハードオートメーション)
  2. プログラマブル自動化(ソフトオートメーション)
  3. フレキシブル自動化
ビジネスプロセス自動化 ― ビジネス成功への新たな道

企業がデジタル変革を進めていく中で、様々な課題が生じます。ビジネスプロセス自動化とは、単にツールやソフトウェアを導入することではありません。それは、ビジネスプロセス全体の根本的な変革を受け入れることです。

多くの場合、企業はBPMツールを導入したり、ボット戦略を実施したり、AIを活用したりすることで満足してしまいます。しかし見落とされがちなのは、デジタルプロセス自動化(DPA)は、従来のBPMやRPAを超えるものであるということです。DPAは、ビジネスプロセスを合理化し、最終的に顧客に優れたユーザー体験を提供するための、インテリジェントな思考を活用したエンドツーエンドのアプローチなのです。

では、なぜビジネスワークフローの自動化がそれほど重要なのか?

自動化の利点は数多くあり、それを分類するだけでも一つの作業になるほどです。しかし、自動化は万能ではなく、特に導入が初めてのステークホルダーにとっては問題が生じることもあります。

たとえば、企業がRPAやDevOps、クラウド自動化、その他のITSMツールを導入する際、多くの問題に直面することがあります。そして多くの場合、企業は努力・データ・資金の損失を招くようなミスを犯します。しかし、慎重な判断と明確な戦略があれば、こうした失敗を回避し、自動化を最大限に活用することが可能です。

では、よくあるビジネスプロセス自動化の失敗例とその解決方法について掘り下げていきましょう。続けてご覧ください。

1. システム化されていないプロセスを自動化しようとする

これは多くの企業が自動化導入時に犯す大きなミスの一つです。簡単に言えば、あるプロセスを自動化する前には、そのプロセスをきちんと文書化することが非常に重要です。

多くのBFSI企業では、従業員が業務のやり方を把握していても、それをドキュメントとして明示することができません。実際には、プロセスを遂行することと、それを文書化することは全く別の作業です。文書が存在しないと、自動化は混乱と障害に直面します。

解決方法:
ツールを導入する前に、時間を取って従業員やマネージャーと話し合いましょう。プロセスを明確に定義し、順序と期待される成果を文書化します。プロのコンサルタントを招いて文書化を依頼するのも一つの手です。

文書化は、組織における自動化を導入する前に必ず行うべきであり、一貫性のない結果を防ぐためにも重要です。

2. チャネル単位の自動化を進め、顧客ジャーニー全体を見落とす

昨今、企業がデジタルプレゼンスを持つことは大きなプレッシャーとなっており、しばしば場当たり的な行動に繋がります。プロセスの責任者が、コールセンターやカスタマーサポートなど特定のチャネルだけを自動化しようとし、AIアシスタントやチャットボットで置き換えてしまう例があります。その結果、顧客ジャーニー全体を見失うことになります。

こうした場当たり的な自動化では、各チャネルごとに個別のロジックが作られ、人間的な判断が介在しなくなり、顧客を苛立たせ、プロセスも分断されます。

解決方法:
開発リソースを重複システムに浪費せず、顧客ジャーニー全体を自動化し、ファネルの終点まで一貫した体験を提供することに集中しましょう。そうすれば、自動化の整合性を保ちつつ、顧客にとっても価値ある体験を届けられます。

3. ワークフロー戦略を無視する

前述のとおり、ITにおける自動化は、チェックリスト的に処理すべき単純な作業ではありません。最適化なしに導入を急ぐと、複雑なワイヤーの束を無理に引き抜こうとするようなもので、最初はうまくいくように見えても、長続きしません。

解決方法:
明確な目標を設定し、それぞれのプロセスを優先順位付けしたワークフロー戦略を立てましょう。プロセスごとに、実現の容易さ、効率性、ROI、業務への影響度などを評価します。

これにより、適切なタイミングで適切なプロセスに取り組み、ROIを最大化し、業界内での競争力を高めることができます。

4. ビジネスケースが存在しない

明確なビジネスケースが欠けていることは、組織が犯しがちな最も重大なBPA(ビジネスプロセス自動化)の失敗の一つです。

製品・サービスの総コストや、自動化されたプロセスによる成果を十分に理解・評価しないままでは、真のリターンは得られません。コストと利益の両方を考慮することで、現実的なROI(投資対効果)を導き出せます。

解決方法:
自動化を成功させるには、長期的に得られる真の利益を理解する必要があります。すべての技術投資を慎重に検討した上で、ROIを計算すべきです。

数多くの自動化ツールが自社の強みを主張しているため、魅力的に映るかもしれませんが、安易な導入は最終的にROIを損なう可能性があります。まずは問題と目標を明確に定義し、それに適したツールを選定してください。たとえば、構成が簡単で既存のツールとも統合可能なオープンソース技術を活用するのも一案です。

5. 検証環境での成功を全社展開できると過信する

多くの組織が犯す重大なミスの一つは、あるプロセスで成功した概念実証(POC)をすべてのプロセスに当てはめようとすることです。

確かに、パイロットフェーズやPOCはRPA戦略の実装において重要な役割を果たします。しかし問題は、POCの結果が簡単に全社的な自動化へとスケールできると誤解してしまう点にあります。

POCは、通常、テストコードを隔離したサンドボックス環境で行われ、企業は主要なリスクを伴わずにボットの最適化に関する貴重な知見を得ることができます。しかし、その成功をすべてのプロセスに一般化するのは危険です。

解決方法:
このミスは、現実的な見通しと集中管理的な視点を持つことで回避できます。自動化の旅路を全体的に見通すことのできる「センター・オブ・エクセレンス(CoE)」を構築し、POCの成功に基づいて、ターゲットを絞ったRPA導入に繋げましょう。

企業全体、または財務領域の持続可能なRPAロードマップを築くには、選定された業務プロセスにボット自動化を導入してから9~16ヶ月間は様子を見ることが重要です。その自動化の旅路を観察しながら、段階的に他のプロセスへと展開していきましょう。

6. ワークフロー自動化がチームに与える影響を軽視する

自動化の成果が目に見え始めると、全業務を自動化したいという熱意に駆られることはよくあります。

しかし、チームの適応力や受け入れ状況を考慮しないと、導入したシステムが複雑すぎたり学習コストが高すぎたりして、従業員が元の手作業に戻ってしまうことがあります。これにより大きな財務損失を招くのみならず、シャドーITによるセキュリティリスクも高まります。

解決方法:
チームがワークフロー自動化によってどれだけ恩恵を受けているかを評価しましょう。彼らの課題が解決され、コストや労力が削減されているかをチェックしてください。

また、技術の導入に対して恐れや抵抗を示す従業員が多いことも忘れてはなりません。彼らが変更を積極的に受け入れていない場合、エンゲージメントも下がってしまいます。

こうした問題を避けるためにも、チームを常に巻き込み、彼らの視点や課題が自動化によって解決されているかを意識して進めましょう。

7. 間違った自動化ソフトウェアを選ぶ

自動化の成功には、導入するソフトウェアについて徹底的にリサーチすることが不可欠です。誤ったツールを選んでしまうと、大きな損失を被り、取り返すのが困難になります。

このような失敗は、何をどう自動化すべきかの明確なビジョンがないままにツールを選んでしまうことで起こります。

解決方法:
自動化は一度きりの導入ではなく、継続的な調整や変更が必要になります。したがって、選ぶツールは柔軟かつスケーラブルであるべきです。

コーディング不要で業務プロセスをモデリング・自動化できるBPMS(ビジネスプロセスマネジメントシステム)の導入を検討してください。堅牢なBPMソフトウェアは、単に手作業を自動化するだけでなく、プロセス全体をより効率的で管理しやすいものにしてくれます。

自社のスコープと実際のニーズに基づいて要件を優先順位づけし、プロセスを次のレベルへ導き、完全なコントロールを可能にするツールを選定することが重要です。

8. ソフトウェアの導入前にプロセスの十分なテストを行わない

「トレンドだから」「他社がやっているから」という理由で自動化に投資するのは危険です。準備不足で導入を急ぐと、多くの組織が陥る典型的なミスを犯すことになります。それは逆効果になるばかりか、自動化プロセス自体の信頼性を損なう行為です。

解決方法:
RPA導入に多額の資金とリソースを投じた後、十分なテストをせずにボットを稼働させるのは避けるべきです。稼働前の徹底的なテストは、開発環境と本番環境の間に生じうる齟齬を取り除くために非常に重要です。

開発完了まで待つのではなく、可能な限り頻繁にテストを実施しましょう。包括的なユースケースを想定した強固なテストプランを作成することで、ボットが想定どおりに動作することを確認できます。

多くの企業がRPAによって業務効率を向上させようとしていますが、こうしたテスト不足による失敗は、業務全体や顧客対応に深刻な悪影響を与えることがあります。

9. ITチームとの連携不足

プロセスチームとITチームは、円滑なワークフロー自動化を実現するための重要なパートナーです。両者の協力体制こそが、成功する自動化の基盤です。

しかし多くの企業では、これら2つのチームの間にギャップが生じており、連携不足がスムーズな自動化を妨げています。

解決方法:
プロセスチームとITチームはお互いを補完する存在であり、スケーラビリティや耐障害性、セキュリティなどのビジネスクリティカルな課題に対応するためにも、常に協力しながら取り組む必要があります。

そうすることで、運用チームは業務効率の向上に集中でき、プロセスから得られるインサイトを最大限に活用できます。自動化を成功させるためには、両チームの連携が不可欠です。

10. 非効率な業務や間違ったタスクを自動化してしまう

これは多くの自動化プロジェクトを台無しにしてしまう典型的な失敗です。いかに業務プロセスが優れていても、中には本質的に非効率なタスクが存在するものです。

そうしたタスクを自動化しても、結局は非効率なプロセスを自動で行っているだけになり、本来の目的は果たせません。

解決方法:
自動化の恩恵を最大限に活用するには、まずプロセスを最適化する必要があります。重複した作業の排除や、非効率なフローの見直しを行いましょう。

プロセス標準化に基づいた検証や評価指標を設けることで、業務の課題を可視化できます。そのうえで、当該プロセスが自動化に値するかを見極めましょう。

このようなアプローチを取ることで、ビジネスの機敏性が向上し、部門間のデータサイロも解消されていきます。

最後に

現在のデジタルシフトの流れの中で、ワークフロー自動化はBFSI業界をはじめとする多くの分野で非常に重要な資産となっています。ただし、自動化が本当に価値を発揮するのは、完璧なパフォーマンスが保証されている場合に限られます。

金融サービスにおける自動化は、ミスを許さない分野です。手動作業の削減と時間・コストの節約が自動化戦略の核心であり、それが適切に実行されれば、確実にビジネスを前進させる力になります。

ここで紹介した失敗例は、こうした落とし穴をあらかじめ認識し、ビジネス定義に基づいた自動化ロードマップを構築するための助けとなることを目的としています。その結果、短期間で自動化による成功を手にすることも可能となるでしょう。

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